アレルギー性鼻炎・花粉症
アレルギー性鼻炎・花粉症

溝の口でアレルギー性鼻炎(花粉症)にお困りの方へ
アレルギー性鼻炎は「国民病」とも言われており、実際の診療でも非常に多くの患者さんが悩まれています。
花粉のシーズンが近づくたびに「毎年もらっている薬をください」と来院される方は多いです。ただ、その”いつもの薬”が本当に病状に合っているのかを一度立ち止まって考えることも大切です。
アレルギー性鼻炎は、体の中に入ったアレルゲン(アレルギーの原因物質)に対して免疫が過剰に反応し、鼻の粘膜に炎症が起きる病気です。
子どもの頃に発症することが多いですが、大人になってから発症する患者さんも少なくありません。高齢になってから花粉症を発症するケースもあります。「今まで花粉症じゃなかったから大丈夫」と思い込んで見逃されるケースも多いため、注意が必要です。
アレルギー性鼻炎は大きく2パターンに分けられます
鼻炎の悪化が引き金となって、全身のアレルギー症状が悪化してしまう方もいます。
代表的なものとして、以下のようなものがあります。
これらのアレルギーの病気は互いに深く関わっており、ひとつが悪化すると他も連鎖的に悪化しやすくなります。この連鎖を「アレルギーマーチ」と呼びます。
喘息やアトピーを抱えている方にとって、鼻炎を適切にコントロールすることは、全身のアレルギー管理においても非常に重要な意味を持ちます。
当院が位置する溝の口・高津区は、花粉症にとって特に注意が必要な地理的環境がいくつかあります。「スギの季節が終われば大丈夫」と思っている方も多いですが、年間を通してほぼ途切れなく何らかの花粉が飛散している可能性があります。
| 1〜2月 | ハンノキ(生田緑地由来) |
|---|---|
| 3〜4月 | スギ・ヒノキ |
| 5〜8月 | イネ科(多摩川河川敷由来) |
| 8〜10月 | ヨモギ・ブタクサ・イネ科(多摩川河川敷由来) |
| 晩秋〜冬 | 比較的少ない時期 |
複数の花粉に反応する方の場合、症状がほぼ一年中続くこともあり、通年性のダニ・ハウスダストアレルギーと見分けることが難しくなります。
なぜこのような環境になるのか、地理的な背景を説明します。
高津区は多摩川に面しており、河川敷にはイネ科の植物・ヨモギ・ブタクサが広く生えています。多摩川沿いは風の通り道になりやすく、飛来した花粉が溝の口を含む田園都市線・南武線沿線の広範囲に広がりやすい地形と思います。
「春が過ぎたのにまだ鼻の調子が悪い」「夏から秋にかけてくしゃみが止まらない」という方は、河川敷由来のこれらの植物が原因である可能性があります。
溝の口から数駅先の向ヶ丘遊園にある生田緑地には、ハンノキが多く生えています。ハンノキはスギよりも早く1月ごろから飛散を始めます。
「冬なのに花粉症」「まだスギの季節ではないのに鼻水が出る」という場合はハンノキが原因のことがあります。この時期は寒暖差による鼻炎(血管運動性鼻炎)や風邪とも症状が重なりやすく、花粉症と気づかれないまま見過ごされやすいです。
溝の口駅から高津駅周辺は府中街道と国道246号が交わる交通量の多いエリアです。排気ガスに含まれる微粒子は花粉と結びつくことで粘膜への刺激をより強め、都市型花粉症と呼ばれる状態になります。これにより、同じ花粉量でも郊外より症状が出やすくなります。
「ずっと鼻の調子が悪いけど、何のアレルギーかわからない」という方は、アレルゲンを特定する血液検査を一度受けてみることをおすすめします。
アレルギー性鼻炎には3つの代表的な症状があります。すべてが揃う方もいれば、1つだけの方もおり、人によって出方はさまざまです。
サラサラとした透明な鼻水が、止まらずに流れ続けます。
副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)は、粘り気があって黄色や緑がかった色のついた鼻水や、においを伴うことが多いため、どんな鼻水かを医師に伝えると診断の参考になります。
両側が詰まる場合もあれば、片側だけのこともあります。鼻が完全に塞がってしまうと口呼吸が続き、喉の乾燥や睡眠の質の低下につながります。嗅覚が鈍くなる方もいます。
日常診療の中で意外と多いのが、「CPAP(睡眠時無呼吸症候群の治療の機械)をつけても鼻が詰まっていて続けられない」という患者さんです。鼻炎を治療することで、装着時の違和感が良くなってCPAPが続けられるようになる方もいます。
アレルゲンに触れた瞬間から連発で止まらなくなることがあります。仕事中や外出先でくしゃみが続くと、周囲の目が気になって精神的にもつらくなる方も少なくありません。
のどがイガイガする違和感、頭がぼーっとする、全身のだるさなどを訴える方がいます。
検査の数値だけでなく、問診による丁寧な情報収集が非常に重要です。「血液検査で陽性だったから花粉症」と単純には診断できないのが難しいところです。
まず症状のタイプを確認します。くしゃみ・鼻水が主体の「くしゃみ・鼻水型」なのか、鼻づまりが中心の「鼻閉型」なのかによって、治療薬の選び方が変わってきます。
症状が出るタイミングはアレルゲンを特定するために重要です。
血液検査では主に2つを確認します。
鼻、のど、気管支は一つの気道であり、一つの病気とも考えられます。咳・喘鳴が鼻炎と同時に悪化している場合は気道全体を評価します(one airway, one disease)
日常的なセルフケアによりアレルゲンに触れる量を減らすと症状の軽減に繋がります。
特異的IgEで陽性のアレルゲンをどこまで回避するべきかは診察時によく相談しましょう。
アレルギー反応の働きを抑える薬を使用します。大きく2種類ありますが、両方の症状がある場合は、2種類を併用することもあります。
鼻腔内に噴霧するステロイド薬です。内服のステロイドとは異なり、局所にのみ作用するため全身への副作用が大幅に軽減されています。
「鼻の症状がとにかくつらい」「内服薬ではコントロールしきれない」という方に適しています。デメリットは即効性がなく、効果を実感するまでに数日から2週間程度かかることです。焦らず継続することが大切です。
市販の点鼻薬には血管収縮薬が含まれるものが多く、連用するとかえって鼻づまりが悪化するリスクがあります。短期間に留める方が良いでしょう。
アレルゲンの成分を含む薬を舌の下に置いて、少量ずつ体に慣れさせていく治療法です。アレルギー反応そのものを抑えていくことが期待できます。
メリットは、長期的に症状を改善できる可能性があることです。
一方で、継続して治療できるアレルゲンは現在スギ花粉とダニの2種類のみに限られており、治療期間も3〜5年と長期にわたります。また、薬剤の供給状況が不安定になることがあるため、開始前に確認が必要です。
重症の季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)に対する注射薬です。これまでの治療では改善しなかった方に治療を上乗せすることで改善するケースもあります。
注意点として、高額医療になること、使用に慣れた専門医師との十分な相談が望ましいことなどが挙げられます。興味をお持ちの方は外来でご相談ください。
難治例や、他の鼻の病気が疑われるときは耳鼻科と連携して治療を行います。
アレルギー性鼻炎を「鼻だけの病気」として治療しても、全身のアレルギーはなかなか改善しません。逆に喘息やアトピーが落ち着かない限り、鼻炎のコントロールも難しくなります。「木を見て森を見ず」にならないよう、当院では鼻炎を全身アレルギーの一部として捉えることを大切にしています。
「複数のアレルギーを抱えている」「鼻の調子が悪くて咳や目の調子も悪い」という方こそ、当院院長はアレルギー専門医ですのでご相談ください。
執筆・監修
溝の口駅前内科・呼吸器内科 院長 高野賢治
(日本内科学会認定総合内科専門医・日本呼吸器学会認定呼吸器専門医・日本アレルギー学会認定アレルギー専門医)
参考文献
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 『鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版』
日本アレルギー学会 『アレルギー総合ガイドライン2022』
国土交通省 『河川水辺の国勢調査(多摩川 植物編)』
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