肺炎
肺炎

肺炎は早期発見・早期治療によって、外来での治癒を目指します
溝の口・高津区周辺で「風邪ではなく肺炎かもしれない」とご心配の患者さんへ
このような症状でお困りではないでしょうか?
これらの症状は、ただの風邪(上気道炎)ではなく、肺炎のサインである可能性があります。
風邪の原因はほとんどがウイルスであるため、自然に回復するケースがほとんどです。
しかし、肺炎は血液検査や胸部レントゲンで炎症の程度と広がりを確認したうえで、抗菌薬などによる治療を行う必要があります。
これまで大学病院や呼吸器専門病院で、たくさんの肺炎患者さんの診療をしてきました。「最初は風邪だと思っていた」「市販薬で様子をみていたら悪化してしまった」というケースを数え切れないほど経験しています。
咳・痰・息切れ・発熱が長引いている・悪化しているときは、早期に診断・治療をすることが、入院せずに治癒するための最大のポイントです。
肺炎とは、肺の組織そのものに炎症が起きた状態です。肺では酸素を取り入れて二酸化炭素を出す役割がありますが、ここに炎症が広がると、呼吸がうまくできなくなります。これが、肺炎で息切れや呼吸困難が生じる理由です。
原因としては細菌性とウイルス性が多く、両方が合併するケースも多いです。また、「マイコプラズマ」「クラミジア」などによる非定型肺炎は、若い方にも多く、「咳は続くが熱はそれほど高くない」「痰が少ない」という特徴があるため、レントゲンを取らないと風邪と区別がつきにくいことがあります。
高齢の方では、飲み込む力(嚥下機能)や咳き出す力(喀出機能)の低下によって、食べ物や唾液が気道に入り込むことで起きる誤嚥性肺炎が多くなります。「食事中のむせこみが増えた」「食後に痰が増える気がする」という方は、その点も含めてご相談ください。
肺炎の代表的な症状は、咳・痰・息切れ・発熱の4つです。そのほか、倦怠感、胸の違和感・痛みを伴うこともあります。
風邪と共通する症状が多いため区別が難しいのですが、「数日経っても改善せず、むしろ悪化しているとき」は肺炎を強く疑う必要があります。
肺炎の診断では、症状の聴取と身体診察に加えて、以下の検査を組み合わせて総合的に判断します。
指に小さなセンサーをあてて、血液中の酸素の値を数秒で確認できます。一般的に正常値は95%以上が目安で、90%を下回ると入院を検討しますが、肺炎の程度は数値だけで評価するのではなく、年齢・体力・もともとの呼吸器疾患の有無なども含めて総合的に判断します。
胸に聴診器をあてて、痰が肺の中に溜まっているときに聞こえる音(湿性ラ音)や、気道が狭くなっているときの音(喘鳴)の有無を確認します。
肺炎が起こると、炎症を起こした部分が白く映ります。炎症の場所・広がりを確認し、重症度の判断や入院の必要性を見極めるうえで欠かせない検査です。
炎症の程度(CRP・白血球数)を確認するとともに、肝臓・腎臓への負担がかかっていないかなどもあわせて評価します。
マイコプラズマや百日咳が疑われる場合は、血液中の抗体を測定することで診断の補助となることがあります。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスは、鼻の奥に専用の綿棒を挿入するだけで、その場で迅速に抗原検査が可能です。マイコプラズマ感染症にも抗原キットがありますが、本当は感染しているのに陰性と出てしまう「偽陰性」が約3割程度あることが知られており、検査結果だけでなく症状や経過と合わせて総合的に判断する必要があります。
痰を採取して、原因となっている菌を調べる検査です。塗抹検査(迅速・概略把握)と培養検査(時間はかかるが菌の特定・薬剤選択に有用)を同時に行います。
唾液が多く混入した痰では精度が落ちるため、できるだけ色のついたような粘っとした痰が理想です。
レントゲンよりも詳細に肺の内部を観察できる検査です。
なかなか治らない肺炎、レントゲンの影に比べて症状が重い場合、肺癌など他の病気が隠れていないかを確認する際に有用です。
一方で、レントゲンの数十倍〜約百倍の放射線被ばくを伴うため、特に若い方には安易に行うべきではないと考えています。
当院にはCT機器を設置していませんが、CT検査が必要と判断した場合には、徒歩数分圏内にある画像診断専門の医療機関と連携し、高精細かつ被ばく量を最小限に抑えた検査が受けられるよう手配いたします。
肺炎治療の基本は、原因となる病原体(細菌・ウイルス・真菌)に対応した薬剤を、適切なタイミングで使用することです。
細菌による肺炎には抗菌薬を使用しますが、原因菌によって選ぶべき薬剤が異なります。たとえば高齢ではなく若い方が肺炎になった場合は、一般的な細菌ではなくマイコプラズマやクラミジアなどの「非定型病原体」を考慮した抗菌薬の選択が必要です。患者さんの背景や喀痰培養を踏まえて、適切な薬剤を選択します。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスによる肺炎には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が有効です。一方で、その他のウイルスによる肺炎に対しては、現時点では有効な薬剤がほとんどないのが実情です。その場合は、安静・水分補給・解熱など症状を和らげる対症療法を行いながら、二次的な細菌感染(二次性細菌性肺炎)が重なっていないかを注意深く経過観察します。
肺炎後に体力や嚥下機能が低下した方には、リハビリテーションの導入を検討します。溝の口駅周辺には対応クリニックが複数ありますので、連携して再発予防に取り組みます。
口の中の細菌が誤嚥によって肺に入り込むことが肺炎の一因となります。特に虫歯・歯周病がある方、糖尿病のある方には、定期的な歯科受診を積極的にお勧めしています。
現在、以下のワクチンが肺炎関連感染症に対して承認・推奨されています。
特に、高齢の方・もともと呼吸器疾患がある方・糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方・ステロイドなど免疫を低下させる治療を受けている方には、ワクチン接種を積極的にお勧めします。
肺炎は早期に診断すればまずは外来で治療できる病気ですが、我慢しているうちに悪化し、入院が必要になることもあります。
これまで大学病院や呼吸器専門病院で多くの患者さんを診てきた中で、外来で治療を開始し、数日後の再診で「症状がよくなって安心しました」と安堵した表情で来てくださる瞬間に、呼吸器専門医としての大きなやりがいを感じてきました。肺炎を外来でよくなるか入院になってしまうかは患者さんにとっても主治医にとっても大きなことだと考えています。
「ただの風邪かもしれないのに受診していいのか」と思う必要はありません。症状が軽いうちこそ、呼吸器専門医の出番です。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
「いつもの風邪より息苦しい」「だるさが強い」「数日で悪化している」のときに肺炎を強く疑います。
咳・痰・発熱は風邪にも肺炎にも共通するため、症状だけでの判断は難しいです。
風邪をこじらせて肺炎に移行するケースも多いため、症状が長引く・悪化するときは早めに受診してください。
CTはレントゲンの数十〜百倍の被ばくを伴うため安易には行いません。
初期診断と治療はレントゲン・採血・SpO₂測定で対応できるケースが多いです。「なかなか治らない」「他の病気との鑑別が必要」な場面では、徒歩数分圏内の画像診断クリニックへご紹介します。
軽症であれば外来治療が可能です。
SpO₂の低下・外来治療で改善しない・食事が摂れない・自宅療養が困難な場合は、速やかに入院可能な病院へご紹介します。
うつるものもあります。
ウイルス性肺炎や非定型肺炎(マイコプラズマ・百日咳など)は感染リスクがあります。特に肺結核は空気感染するため注意が必要です。抗菌薬を飲んでも改善しない・繰り返す肺炎がある場合は、結核を含めた精査を検討します。
違う抗菌薬が有効な場合や、そもそも肺炎ではない可能性があります。
マイコプラズマなどの非定型肺炎は一般的なペニシリン系抗菌薬では効きません。また、肺癌・肺結核・間質性肺炎が隠れているケースもあります。改善しない場合は呼吸器専門医への受診をお勧めします。
執筆・監修
溝の口駅前内科・呼吸器内科 院長 高野賢治
(日本内科学会認定総合内科専門医・日本呼吸器学会認定呼吸器専門医・日本アレルギー学会認定アレルギー専門医)
参考文献
日本呼吸器学会「成人肺炎診療ガイドライン2024」
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