肺MAC症(肺非結核性抗酸菌症)
肺MAC症(肺非結核性抗酸菌症)
「肺MAC症・肺非結核性抗酸菌症」についてお困りの患者さんへ
このような症状でお困りではないでしょうか?
長く続く咳や痰を起こす呼吸器の病気としては、気管支喘息や咳喘息、COPD(肺気腫)などがよく知られています。
一方で、あまり馴染みがないですが、肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)も、長引く咳や痰の原因のひとつです。
肺NTM症の大部分はMAC(マック)という菌が原因であるため、肺MAC症と呼ばれることが多く、患者さんにも「肺MAC症」の名前の方が馴染みがあります。この記事でも、肺MAC症の名称を中心に解説していきます。
近年、肺MAC症は増加傾向にあります。特に、中高年の痩せ型の女性に多いともされています。また、メディアで取り上げられる機会も増えています。
「健診のレントゲンで異常な影を指摘された」「ご自身やご家族が診断された」といったきっかけで、外来でご相談を受けることが多くなってきました。
一般にはまだ聞き慣れない病名かもしれませんが、呼吸器内科ではよく患者さんが受診される病気です。
一般内科では対応が困難なことも多い病気ですが、当院では呼吸器専門医として、肺MAC症(肺NTM症)の診療に対応しています。
どのような病気なのか、診断や治療の流れを含めて分かりやすく解説していきます。
肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)という病名を、初めて耳にする方がほとんどです。
患者さんに説明する際は、病名を以下のように分解してお伝えしています。
病名を初めて告げられると、多くの患者さんは驚かれます。
ただ、まず知っておいていただきたいのは、「非結核性」という言葉が示す通り、結核とは性質がまったく異なるという点です。
①病状の進行はゆっくりであることがほとんど
年単位で経過を追っても、ほとんど変化がない方も少なくありません。
ただし、未治療のまま徐々に肺が壊れてしまい、その結果、肺が元に戻らなくなってしまう患者さんもいることは注意が必要です。
②人から人へ空気感染することは、限りなく稀
結核は空気感染する可能性があるため、速やかな隔離と診断・治療が必要ですが、肺MAC性はそのようなことは限りなく稀です。
この2点をお伝えすると、多くの患者さんに安心していただけます。
肺MAC症(肺NTM症)の原因菌は、土壌や水回りに広く存在しており、私たちの日常生活の身近な環境にありふれた菌です。
特に自宅内だとシャワーヘッドなどあまり目が向かないところにも衛生状況の注意が必要ですから。
結核菌と同じ「抗酸菌」というグループに属してはいますが、その病状や経過は結核とは大きく異なります。

肺MAC症の症状は、患者さんによって大きく異なります。
まったく自覚症状がなく、健診のレントゲンやCTで偶然発見される方がいる一方、痰が絡む咳が長く続くことを訴えて受診される方もいます。
典型的な症状としては以下が挙げられます。
病状が進行してくると、息切れを訴える方も出てきます。
肺の病気ではありますが、進行するにつれて全身に影響が及ぶのが肺MAC症の特徴です。
特に注意が必要なのは、「息切れの悪化 → 活動量の低下 → 栄養状態の悪化・体重減少 → さらなる息切れの悪化」という悪循環に入り込まないことです。
一度壊れた肺の組織はもとに戻すことができません。この悪循環に入る前に、早期に診断・治療を開始することが重要です。

肺MAC症の診断は、複数の検査を組み合わせて行います。
痰を採取して培養・検査することが、肺MAC症の診断の中心となります。
1回の検査では確定できないことが多く、複数回繰り返して2回陽性が確認されることが診断の条件のひとつです。
定期的な撮影により、病状の経時的な変化を追うことができます。
進行がゆっくりであることが多い肺MAC症では、CTよりもレントゲンの方が経過観察に適している場面も多くあります。
典型的には、両方の肺の真ん中に異常な影が映ることが多いです。ただ、人によってこれも様々です。
血液中の抗MAC抗体を測定します。
体内でMAC菌に対する免疫反応が起きているかを確認できる検査で、診断の補助だけでなく、病状の把握にも役立ちます。
レントゲンで見つかった異常の詳細な評価や、レントゲンでは描出されないほど小さな病変の確認に使用します。診断時や病状変化時に行うことが多い検査です。
肺MAC症と診断された場合、原則は抗菌薬による治療です。
ただし実際には、以下の点を患者さんとよく相談しながら治療方針を決めていきます。
私自身の診療経験からお伝えすると、経過観察を続けても病状がまったく変わらない方には、すぐに治療を開始せず定期的な経過観察を選ぶことがあります。
一方、レントゲンやCTで悪化の所見がある方、症状が目立つ方には、治療開始をお勧めすることが多いです。
近年は、難治性の肺MAC症に対して吸入薬による治療も登場しています。ただし薬剤の管理や使用条件など考慮すべき点もあり、専門病院のもとで対応することがあります。
また、肺MAC症では全身の体力低下を防ぐことも治療の重要な柱です。
当院では、体力低下が懸念される患者さんには、積極的にリハビリテーションをお勧めしています。
肺MAC症は、患者さんによって症状も経過も大きく異なります。
健診のレントゲンでたまたま見つかり、長年ほとんど変化がない方もいれば、徐々に進行して日常生活に支障をきたす方、まれに重篤化する方まで、同じ病名でも実にさまざまです。
だからこそ、「この患者さんに今、治療が必要かどうか」を丁寧に見極めることが最も重要です。
治療をすぐに始めない場合でも、定期的なレントゲンや検査で病状の変化を追い続け、治療を始めるべきタイミングを逃さないことが大切です。
肺MAC症は一般内科では対応できる施設が少なく、多くの患者さんが総合病院の呼吸器内科に通われています。
しかし、長期通院が必要な病気であるにもかかわらず、長い待ち時間や完全予約制の壁に悩む患者さんを、これまで何人も見てきました。
「専門的な診療を、通いやすい場所で続けたい」——そうした患者さんの声が、私が駅前でクリニックを開いた大きな理由のひとつです。
当院は溝の口駅から徒歩1分という立地を活かし、長期にわたる通院がしやすい環境を整えています。
お一人おひとりの病状と生活背景をしっかり把握しながら、患者さんと相談して治療方針を決めていきます。
「長く経過を診てもらえる場所」として、気軽にご相談ください。
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