痰が出る・からむ
痰が出る・からむ
溝の口・高津区エリアの方で、このような症状でお困りではないでしょうか。
痰が絡むと、無理に出そうとしてかえって咳き込んでしまったり、「このまま喉に詰まってしまうのではないか」と不安になる方も少なくありません。
人前で咳払いをするたびに周囲の目が気になってしまう、という声もよくお聞きします。
痰は、その色や粘り気、続く期間によって考えられる原因が異なります。
この記事では、痰の性状ごとに考えられる原因と、当院での検査・治療の流れについて説明します。
痰は、気道を異物や病原体から守るための生理的な防御反応として分泌されます。
空気の通り道である気道の粘膜にウイルスや細菌、ほこりや花粉といった異物が付着すると、痰はそれらを粘液に絡めとり、咳と一緒に体の外へ排出する役割を担っています。
いわば、気道を守るための「掃除係」のような存在です。
一方で、気道が炎症などの刺激を受けると、痰の分泌そのものが過剰になることがあります。
すると本来は防御反応であるはずの痰が、かえって「痰が出る」「痰が切れずに絡む」「喉に詰まりそうで息がしづらい」といった、患者さんご自身を悩ませる症状として現れてしまいます。
痰は体を守る仕組みであると同時に、量や粘度によっては生活の質を大きく下げてしまう症状でもあります。
痰の色や性状から、どのような原因で痰が出るのかを推定することが可能です。
感染の悪化の最中というよりは、感染の回復過程や、アレルギーによるものが考えやすいです。
・かぜの回復期:ウイルス感染後、体が異物を排出しようとする自然な反応
・後鼻漏:アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎による喉への垂れ込み
・喘息・咳喘息:透明〜白色の痰が特徴的に出ることがある
「黄色・緑=細菌感染だから抗菌薬が必要」というふうに考える患者さんもいますが、痰の色だけで判断することはできません。
ウイルス感染の経過中でも黄色〜緑色になることがあり、ウイルス感染では抗菌薬は不要であるため、痰だけでウイルスと細菌を鑑別することは難しいです。
ただし、COPD(いわゆる肺気腫)の悪化の際には「痰の膿性化(色の変化)」が特徴的とされているので、COPDをお持ちの患者さんは注意が必要です。
痰の色の変化に加えて、発熱・息苦しさを伴う場合は肺炎の可能性があるため、やはり注意が必要です。
サラサラ(水っぽい):後鼻漏、アレルギー、かぜの初期などで多いです。
ネバネバ(粘稠):喘息(気道の炎症により粘液分泌が亢進し、痰が絡んで切れにくくなる)、COPD、脱水気味で痰が濃縮している場合
特に、喘息患者さんでは「痰が絡んで夜間・早朝に咳き込んでしまう・起きてしまう」という訴えはとてもよく相談されます。
白色・透明のさらさらした泡状痰:軽い気管支炎や、唾液と混ざった痰でも起こりうる
ピンク色の泡状の痰:心不全(肺水腫)を示唆します。息苦しさを伴う場合は緊急性が高い可能性があるので、早期の受診が必要です。
発熱・喉の痛みが先行し、後から咳・痰が主症状に1-2週間でなっていく時間経過があります。
「かぜは治ったのに痰だけ残る」という訴えが多いですが、自然に治ることも多いです。
治らない場合は、喘息などの合併を考える必要があります。
気道の慢性炎症により痰の分泌が増え、粘稠な痰が絡みやすいことが特徴です。
咳喘息は「痰を伴わない乾いた咳」のイメージを持たれがちですが、実際には軽度の痰を伴うこともあり、また痰があることで気道の刺激になって更に痰が出る、という悪循環になることがあります。
夜間・早朝、季節の変わり目、運動後に悪化しやすいことが特徴的なので、心当たりがあれば御相談ください。
長期に喫煙をしていることで発症する方が大部分です。いわゆる、タバコ肺です。
慢性的な痰・咳が数か月〜年単位で続くことが特徴で、「歳のせい」「タバコを吸っているから当然」と放置されやすい疾患でもあるので、注意が必要です。
普段から痰が出ることがおおいですが、痰の色の変化(膿性化)が急な増悪のサインになるので、早めに御相談ください。
発熱・膿性痰・息苦しさ・全身倦怠感を伴う場合に疑います。「かぜをこじらせた」と思った時には常に肺炎に注意が必要です。
高齢者では発熱がはっきりせず「なんとなく元気がない」だけのこともある、ということには注意が必要です。
レントゲンでの確定診断が必要ですから、当院では速やかに対応しています。
鼻の前から出てくるものは鼻水ですが、鼻の奥から喉に分泌物が垂れ込むことで「痰」として自覚されるときに、後鼻漏と診断されます。
実際には気管支や肺由来ではなく、耳鼻科由来のものになります。
花粉症・アレルギー性鼻炎によく合併し、朝起きた時に症状が強い、鼻をすする癖・喉の違和感を伴うといった特徴があります。
耳鼻科の病気ではありますが、当院はアレルギー科なので初期対応を行うことは十分可能です。
胃酸の逆流して食道を通って喉頭・気道を刺激し、慢性的な咳・痰の原因になります。
食後・横になった時に症状が悪化しやすい、胸焼け・げっぷを伴うことがあるという特徴的な病歴があることが多いですが、明らかではないときもよくあります。
「呼吸器の病気が除外されても痰・咳が続く」場合に考えます。
まずはレントゲン検査を行います。
喘息やCOPD(肺気腫)が疑われる場合には、呼吸機能検査を行います。
特に喘息が疑われる場合には、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)検査を積極的に行っています。
また、痰が続く患者さんには痰の検査を行い、どのような菌が存在するか、悪性の病気が隠れていないかを調べることもあります。
原因がはっきりしない場合には、徒歩すぐの連携医療機関で、高精細・低被ばくのCT検査を行います。
痰が出るときの治療の原則は、原因となっている病気そのものを治療することです。
喘息やCOPDであれば吸入薬、肺炎であれば抗菌薬、後鼻漏であれば抗アレルギー薬や点鼻薬、逆流性食道炎であれば胃薬など、原因に応じた治療を行います。
痰切れをよくする薬だけで症状を改善させることは、実際には難しいです。
原因疾患の治療でも症状が十分に抑えられない場合に、対症療法として痰切れをよくする薬を追加で処方することがあります。
なお、痰切れがよくなると痰がサラサラと感じられるようになるため、「痰は出しやすくなったが、量が増えた気がする」とご相談される患者さんもいらっしゃいます。
これはお薬の種類によっても感じ方が異なりますので、実際に使ってみたうえでの痰の具合について、遠慮なくご相談ください。
痰は、咳と同じくらい多くの患者さんが悩まれている症状です。
痰は色や粘り気などから、ある程度病気を推測することができますが、それだけで診断を断定することは難しいのが実際のところです。
咳があるとまず生活の質が落ちますし、咳をすることで気道がさらに刺激され、それがまた痰を増やしてしまうという悪循環に陥ることもあります。
痰を切れやすくするお薬も重要ですが、一番大切なのは、痰の性状や経過から原因をしっかり見極め、それに応じた治療を行うことだと考えています。
痰でお悩みでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。
いつでもご相談ください。2週間続く時は早めに相談が望ましいです。
普段痰が出ていない方が出ている時は、明らかに何らかの異常があると考えます。咳に準じて考えると、2週間以上続いているときはただのかぜではない可能性があるので、早めにご相談がおすすめです。
痰の色だけで判断することは難しいです。
感染か感染ではなさそうか、といったことの参考にはなりますが、痰の色だけでは判断ができません。
ただし、「痰の色が変わった」というのは病状の変化になるので、ぜひご相談ください。特に、COPDの患者さんで重要です。
抗菌薬が必要かは診察次第です。
単に黄色や緑がつくことは感染症が考えやすいです。しかし、ウイルス性か細菌性かを区別することは難しいです。ウイルス性であれば抗菌薬は不要ですが、細菌性であれば抗菌薬が必要です。レントゲンや聴診など、ほかの診察の結果と合わせて検討する必要があるので、ご相談ください。
かぜではない原因がある可能性があります。受診をおすすめします。
かぜの痰であれば自然によくなることもありますが、痰がらみや咳が続く時には、ほかの原因を調べる必要があります。大きな病気の可能性もあるので、一度ご相談ください。
早めに呼吸器内科にご相談ください。鮮やかな血が出るときには救急受診を検討してください。
血が混じった痰が出るときには、慢性的な呼吸器の病気の可能性も考えられます。手のひらが真っ赤に染まるような鮮やかな血が出ているときには、喀血と言って、急に出血している可能性があるので、緊急的な処置が必要な可能性がありますから、救急受診も検討してください。
執筆・監修
溝の口駅前内科・呼吸器内科 院長 高野賢治
(日本内科学会認定総合内科専門医・日本呼吸器学会認定呼吸器専門医・日本アレルギー学会認定アレルギー専門医)
参考文献
日本アレルギー学会『喘息予防・管理ガイドライン2024』
日本呼吸器学会『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』
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