2026年6月25日
睡眠時無呼吸症候群でCPAP治療を始めたものの、「苦しくて眠れない」「気づいたら外してしまっている」というお悩みをお持ちではないでしょうか?
☑ つけていると苦しくて目が覚めてしまう
☑ 朝起きたらいつの間にか外している
☑ CPAP をつけると息ができない感じがする
☑ マスクやバンドの締めつけがつらい
こうした不快感が続いてCPAPを中断してしまうケースは珍しくありません。
原因はいくつかに分類でき、それぞれに対処法があります。
この記事では、よくある原因と具体的な改善策をご説明します。
なぜCPAPをつけると苦しくなるのか
CPAPは、睡眠中に一定の圧力をかけた空気を送り込み、気道を開いた状態に保つことで無呼吸・低呼吸の回数を減らす医療機器です。
気道が物理的に塞がることで起こる閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対して保険適用があります。
有用な治療である一方、不快感から使用をやめてしまう方も一定数います。
CPAPは月1回の通院と機器レンタル費用が継続的にかかる治療です。
さらに2026年の診療報酬改定により、一定の使用率を下回ると保険での継続が難しくなる場合があります。
CPAPが苦しくて使えていない場合は、早めに担当医に相談することが大切です。
考えられる原因
CPAPが続けにくくなる原因は以下のようなものが考えられます。
① 機器・装着の問題
圧設定
必要以上に圧を上げてしまうと、患者さんとしては「息が押し込まれる感じ」「履ききれないような感じ」を訴えることがあります。
一方で低すぎる圧だと治療の効果が得られません。病状に合わせた圧の設定が必要です。
マスクフィット
マスクのフィットがきつすぎると不快感につながり、弱すぎると圧がかからず治療効果が得られません。適切なマスクの選択とフィットが重要です。
口呼吸
口呼吸をすることで、CPAPの圧がうまくかからず機械が強く空気を軌道に押し込もうとします。その結果、苦しく感じることがあります。
口呼吸によりうまくCPAPが使えないときはマスクを変更して口も覆うようなものにしたほうが結果的に圧を上げずに済んで不快感の軽減になります。
加湿不足
下室が不足している場合、CPAPの不快感につながります。
必要・時期に応じて加湿するなどが良いでしょう。
皮膚トラブル
マスクのフィットが良くないと、皮膚トラブルを起こすことがあります。
皮膚トラブルの部分に当たらないようなマスクを選んだり、皮膚トラブルが起こった際には適切な治療を行う必要があります。
② からだ・病気・気持ちの問題
鼻閉・アレルギー性鼻炎
CPAPは主に鼻から加圧した空気を送り込む構造のため、鼻が詰まった状態では圧が逃げて治療効果が低下したり、息苦しさの原因になります。
アレルギー性鼻炎(花粉症・通年性)は鼻閉の代表的な原因であり、CPAP使用の妨げになることがあります。
鼻閉に対する薬物療法(抗ヒスタミン薬・点鼻ステロイドなど)を並行して行うことが重要です。
また、鼻だけでなく口からも通気できるフルフェイスマスクへの変更が有効な場合もあります。
閉所感・圧迫感
マスクを顔に装着することへの心理的・感覚的な不快感で、「閉じ込められる感じ」「息ができなくなりそう」といった訴えとして現れます。
特に使用開始の初期に多く、慣れとともに軽減することも少なくありません。
起きている時間帯に装着する「慣らし」の練習が有効なことがあります。
また、顔への接触面積が小さいネーザルピロータイプのマスクに変更することで圧迫感が軽減するケースもあります。
院長からのメッセージ
睡眠時無呼吸症候群の診断のために、時間をかけてたにも関わらず、CPAP両方を開始するとうまく続けられない患者さんが一定数います。
呼吸器内科専門医は睡眠時無呼吸症候群を専門としますから、CPAP療法を導入するだけではなく、上手に続けられていけるよう管理することを目指しています。
「治療や機械の調整をしたら苦しくなくなってつけられるようになった」と言っていただけた時、患者さんと喜びを共有できる瞬間でもあります。
CPAP療法に興味がある方は、一度是非御相談ください。
FAQ
Q.CPAP(シーパップ)が苦しくてつけられない場合、どうすればよいですか?
A.自己判断で中断せず、担当医に相談することが大切です。
「苦しい」と感じる原因は、圧設定・マスクのフィット・口呼吸・鼻閉など複数あり、原因に応じた対処で多くの場合改善できます。
当院では現在の設定やマスクの見直し、他に何か病気が隠れていないかも含めてご相談いただけます。
Q.CPAPの保険適用を続けるには、1か月に何日以上使う必要がありますか?
A.主治医の判断になりますが、使えていない日数が多いとCPAP療法が中断になる可能性があります。
2026年の診療報酬改定により、科学的根拠に基づいて使用データの確認がより重視されるようになっています。
「苦しくて使えていない」状態は使用日数の不足に直結するため、不快感の原因を早めに解消することが保険診療継続とご自身の体調管理のためにも重要です。
Q.口呼吸があるとCPAPはうまく使えないのですか?
A.マスクのデバイスを工夫することを考慮しましょう。
鼻マスク型のCPAPでは、口が開いていると圧が口から逃げてしまい、治療効果が落ちたり乾燥・不快感の原因になります。
口とびを両方覆うフルフェイスマスクへの変更や、マウステープの使用が有効な場合があります。口呼吸が気になる方はご相談ください。
【執筆・監修】
溝の口駅前内科・呼吸器内科 院長 高野賢治
(日本内科学会認定総合内科専門医・日本呼吸器学会認定呼吸器専門医・日本アレルギー学会認定アレルギー専門医)
参考文献
・日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.
