スポーツ中に息苦しくなる・咳が出る──運動誘発性喘息とは|溝の口駅前内科・呼吸器内科|川崎市高津区の呼吸器内科・アレルギー科

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スポーツ中に息苦しくなる・咳が出る──運動誘発性喘息とは

スポーツ中に息苦しくなる・咳が出る──運動誘発性喘息とは|溝の口駅前内科・呼吸器内科|川崎市高津区の呼吸器内科・アレルギー科

2026年7月05日

スポーツ中に息苦しくなる・咳が出る──運動誘発性喘息とは

「運動をしているときに息切れや咳が出る」といったことでお困りではないでしょうか?

☑ 普段は咳が出ないのに、運動をしている時・した後だけ咳が出る
☑ 運動をすると、その時だけ息苦しさや胸の締めつけ感を覚える
☑ 喘息と診断されていて、運動をすると喘息症状が悪化する
☑ 喘息がある中で運動をする際、事前に注意すべきことがないか知りたい

このような症状が続いている場合、「運動誘発性喘息」が関わっている可能性があります。
この記事では、考えられる原因と受診の目安について、呼吸器専門医が解説します。

運動誘発性喘息とは

運動誘発性喘息(EIA:Exercise-Induced Asthma)とは、その名のとおり運動をきっかけに咳・喘鳴・息苦しさといった喘息症状が誘発・悪化する病態です。
「アスリート喘息」と呼ばれることもあります。

単に「運動が苦手」という問題ではありません。
部活動でスポーツに取り組む学生さんや、運動を趣味とする方にとって、症状によって競技を中断せざるを得なくなったり、体育の授業など学校生活に支障をきたしたりすることは、日常生活の質に関わる重要な問題です。

運動誘発性喘息の管理が難しいのは、喘息そのものの治療に加えて、運動前後の対応(ウォーミングアップの取り方や発作予防薬の使用タイミングなど)を組み合わせる必要があること、そして競技によっては治療薬がドーピング規定に抵触しないよう配慮しながら喘息治療を継続する必要がある点です。

気管支喘息についてはこちら👉

なぜ運動で喘息症状が誘発されるのか

気管支喘息の本態は、気道が慢性的に過敏な状態になっていることです。
この過敏な気道に、運動時の速く大きな呼吸によって冷たく乾燥した空気が大量に取り込まれると、気道粘膜への刺激となり、喘息症状が誘発・悪化します。

運動誘発性喘息の特徴的な経過は、運動中から気道収縮が始まり、運動終了後およそ5~15分に症状がピークとなることです。
その後、気道の状態は徐々に落ち着き、多くの場合1時間前後で自然に軽快します

また、悪化のメカニズムは競技の種類によっても異なります。
・陸上競技・持久系スポーツ:速い呼吸で大量の冷気・乾燥した空気を吸い込むことが主な刺激
・水泳:暖かく湿った空気を吸うので症状が出にくい運動とされていますが、競技レベルで頻繁に練習を行うときには塩素刺激や高い湿度環境が関与し、かえって症状が出やすくなるリスクもあります。
・冬季の屋外スポーツ:寒冷刺激そのものが気道を収縮させやすく、症状が出やすい

このように「どの競技で」「どのタイミングで」症状が出るかを把握することは、検査や治療方針を考える上でも参考になります。

どんな運動で起こりやすいか

「喘息のある方には水泳が向いている」と言われることがありますが、これには医学的な理由があります。
一般に運動誘発性喘息は、長距離走・サッカー・バスケットボールといった持久系の運動で誘発されやすいとされています。
これは、速く大きな呼吸を長時間続けることで、冷たく乾燥した空気を大量に吸い込むことが関係しています。
一方、水泳は温かく湿った空気を吸うため、同じ運動強度でも症状が出にくいとされています。

だからといって、症状が出やすい競技を必ず避けなければならないわけではありません。
適切な治療とウォーミングアップなどの対策を行うことで、多くの場合は競技を継続することができます。

この競技ごとの特徴は、以下のようなときに参考なると考えています。
・すでに喘息があり、これから運動部やスポーツを始めようとしているお子さん・保護者の方が競技選択の参考にする
・すでに取り組んでいる競技がある方が、症状悪化時の対策(ウォーミングアップの工夫や薬の使用タイミングなど)を考える参考にする

検査・診断

まずは通常の喘息と同様に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)検査やスパイロメトリー(肺機能検査)を行い、気道の炎症や気流閉塞の有無を確認します。

ここで注意が必要なのは、これまで喘息と診断されたことがない方でも、運動誘発性喘息だけが単独で起こるケースがあるという点です。
このようなときは、正確には運動誘発性気管支収縮(EIB)と呼びます。

普段の呼吸には問題がなく、通常時のスパイロメトリーが正常でも、運動誘発性喘息が否定されるわけではありません。

問診や通常の検査だけでは診断が難しく、運動誘発性喘息が強く疑われる場合には、より専門的な検査を行うことがあります。
これらは高度な設備を要するため、専門医療機関での実施が中心となります。

・運動負荷試験
 トレッドミルや自転車エルゴメーターを用いて実際に運動をしていただき、症状の誘発を確認する検査
・運動前後でのスパイロメトリー比較
 運動前後でFEV1(1秒量)がどの程度低下するかを測定し、一定以上の低下があれば運動誘発性喘息と診断する

治療・運動前後の対応

運動誘発性喘息の対応において、まず重要なのはベースとなる喘息治療をしっかり行うことです。
喘息治療の基本は吸入薬、特に吸入ステロイド(ICS)による普段からのコントロール治療であり、これを継続することで気道の過敏性そのものを改善し、運動時の症状も起こりにくくなります。

その上で、運動誘発性喘息に特有の対策として、以下のようなものがあります。

・ウォーミングアップ
運動前に軽い運動を行っておくことで、その後の本格的な運動時に症状が出にくくなる効果が知られています

・発作予防薬の使用
運動の15分ほど前に、短時間作用性の気管支拡張薬(SABA)を頓用で吸入することで、症状の誘発を抑えられる場合があります

・環境調整
冷たい空気の刺激で咳や息苦しさが出やすい方は、マスクを着用して吸い込む空気を温め、加湿することも有効です

治療薬とドーピングについて

学校の部活動や競技レベルでスポーツに取り組んでいる方の場合、喘息治療薬の中には、使用する薬剤や剤形によってドーピング規定上の確認が必要なものがあります。

一般的に、吸入ステロイドは多くの競技で使用が認められていますが、規定は競技団体や大会によって異なり、時期によって改定されることもあります。
吸入ステロイドだけでなく、運動前に使用する気管支拡張薬についても、成分や使用量によってドーピング規定に抵触する可能性があるため、注意が必要です

そのため、詳細な可否については、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)や所属する競技団体の最新情報を確認していただく必要があります。

当院では、競技を続けながら喘息治療を継続できるよう、治療薬の選択について可能な範囲でご相談に応じています。

院長からのメッセージ

運動をすると喘息の症状が悪化してしまうことを「仕方のないこと」と受け止めて、運動そのものに対して引き気味になってしまう患者さんを、診療の中で時々お見かけします。
そうした患者さんには、部活動や習い事に取り組む若い方も少なくありません。


喘息があることでスポーツを楽しむことを諦めてしまう。そのことを、呼吸器内科医としてとても残念に感じています。
喘息があっても、運動を諦める必要はありません。
まずは喘息そのものの治療をしっかり行いながら、スポーツをする際の注意点についても一緒に相談し、運動誘発性喘息の治療に取り組んでいければと思っています。

思春期という多感な時期の患者さんにも、できるだけ前向きにスポーツを続けていただけるよう、これからも喘息診療を続けていきたいと考えています。

溝の口は学生さんをはじめ若い患者さんも多いエリアです。部活動や日々の運動を諦めることなく続けられるよう、力になれればと思っています。

FAQ

Q. 運動誘発性喘息は治りますか?

運動誘発性喘息の治療は、まず喘息そのものの治療に準じて行います。
喘息は症状が落ち着くことはあっても、気道の過敏性自体が完全になくなるわけではないため、治療を継続していくことが基本になります。
その上で、運動前のウォーミングアップや予防的な吸入薬の使用などを組み合わせ、症状ができるだけ出ないようにコントロールしていくことが治療の目標です。
「治す」というより「症状をコントロールしながら競技を続けられる状態を維持する」ことを目指す病気とお考えください。

Q. 吸入薬はドーピングになりますか?

吸入ステロイドは多くの競技でドーピング規定に抵触しないとされていますが、具体的な規定は競技団体や大会によって異なり、時期によって改定されることもあります。
そのため、詳細については日本アンチ・ドーピング機構(JADA)や所属する競技団体の最新情報をご確認いただく必要があります。
当院でも、治療薬の選択について可能な範囲でご相談に応じています。

Q. 子どもの部活は続けさせてよいですか?

喘息の症状を適切にコントロールすることで、部活動を継続していただくことは十分可能ですし、お子さんの成長にとっても大切なことだと考えています。
まずは私たちが喘息の治療をしっかり行っていきますので、ご家族には温かく見守っていただきながら、運動時の様子や症状の変化について受診の時に教えていただけますと、治療の調整に役立ちます。

Q. 何科を受診すればよいですか?

運動時の息苦しさや咳は、喘息以外にも心臓の病気やアレルギー性鼻炎など、さまざまな原因で起こることがあります。
まずは呼吸器内科を受診し、聴診や呼吸機能検査などで原因を調べることをお勧めします。
当院は呼吸器専門医が診療しておりますので、喘息が疑われる場合の検査から治療、競技を続けるための相談まで、一貫して対応いたします。

【執筆・監修】

溝の口駅前内科・呼吸器内科 院長 高野賢治

(日本内科学会認定総合内科専門医・日本呼吸器学会認定呼吸器専門医・日本アレルギー学会認定アレルギー専門医)

【参考文献】

日本アレルギー学会 喘息予防・管理ガイドライン2024

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