2026年10月10日

こんな症状は喘息発作かもしれません
喘息と診断されたことのある方、また診断はされていないものの喘息発作が心配な方で、以下のような症状があれば、喘息発作の可能性があります。
☑ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
☑息を吐くのが苦しい
☑息苦しくて横になれず、体を起こすと楽になる
☑夜間や明け方に強い咳が出る
☑会話の途中で息継ぎが必要になる
気管支喘息は、症状が強く出て夜も眠れなくなることがしばしばあります。入院が必要になることや、最重症では命に関わることもある病気です。
この記事では、喘息発作が起きたときの対処法と受診の目安を、呼吸器専門医の立場から解説します。
※小児喘息ではなく、成人の気管支喘息の方向けの内容です。
喘息発作はなぜ起こるのか
喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が続いている病気です。普段は症状がなくても、何らかのきっかけ(誘因)が加わると気道が急に狭くなり、発作が起こります。
はっきりとした原因がなく起こることもありますが、多くの場合は誘因が考えられます。
以下は代表的なものです。個人差もあります。
感染
風邪などのウイルス感染をきっかけに起こります。
ハウスダスト・ダニ
ほこりを吸い込むことで悪化します。
花粉
花粉症の季節に悪化することがあります。季節性に症状が悪化する方は注意が必要です。
気候
季節の変わり目、梅雨時、台風が近づくときなど、天気の悪い日が続くと症状が悪化しやすくなります。
疲労・ストレス
体や心の疲れが溜まると、発作の誘因になることがあります。
タバコの煙
受動喫煙も含まれます。
運動
運動中や運動後に発作が起こることがあります。
吸入薬の中断
症状がないからと、治療の吸入薬をやめたり減らしたりすると、気道の炎症がぶり返して発作が起こりやすくなります。
解熱鎮痛薬(アスピリン喘息)
市販の風邪薬や痛み止めに含まれる解熱鎮痛薬(アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)で、発作が誘発される方がいます。
アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)と呼ばれ、成人になってから発症した方や、慢性副鼻腔炎・鼻茸を伴う方に多いとされます。
飲み薬だけでなく、湿布や塗り薬でまれに起こることもあります。
痛み止め・熱冷まし・かぜ薬を使って咳や息苦しさが出たことがある方は、自己判断で使わず、医師や薬剤師に相談してください。
発作が起きたときの対処法
① まず、発作止めの吸入薬を使う
手持ちの気管支拡張薬(発作止め)があれば、まず吸入してください。メプチンやサルタノールがこれに該当します。
シムビコート・ブデホルを使用している方は、発作時に追加で吸入できる場合があります。使える回数は人によって異なるため、あらかじめ主治医と「発作時に何回まで追加できるか」を確認しておきましょう。ご自身の薬が発作時に使える薬かどうかわからない場合も、主治医に確認してください。
② 楽な姿勢で、ゆっくり呼吸する
座って少し前かがみになると、楽になることがあります。衣類を緩め、口をすぼめてゆっくり息を吐くことを意識してください。
③ 必ず受診する
日中に受診できそうな場合や、翌日まで待てそうな場合も、必ず受診しましょう。受診では、発作の誘因を確認し、喘息発作の治療を行います。
喘息発作のときの治療と、普段の喘息を悪化させないための治療は別のものです。普段の治療を続けているのに悪化傾向であれば、受診して発作の治療を受けない限り、改善は難しいことが多いです。
④ 受診できないとき
夜間・早朝で、クリニックが開いていないなど受診できない場合は、救急受診を検討しましょう。発作止めを吸入しても楽にならない場合や、効果が短い場合は、時間帯にかかわらず救急受診が必要です。
受診の目安
喘息は、症状が悪化したら速やかに受診してよい病気です。迷ったときは、受診して問題ありません。そのうえで、受診を急ぐ目安をまとめます。
早めの受診
・症状の悪化が咳だけで、メプチンを吸入すると良くなるとき
当日受診
・息苦しさがあるが、メプチンを吸入すると症状が改善するとき
・ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)が出てきたとき
・メプチンの効果が短く、繰り返し吸入が必要なとき
緊急性があるとき
・息苦しさが強いとき
・夜、体を起こしていないと苦しいとき
・メプチンを吸入しても改善しないとき
・会話が難しい、歩くのが難しいとき
・唇や顔色が紫っぽいとき
ご自身で医療機関を受診することが難しいときは、救急車を呼ぶことも検討してください。
当院での診療の流れ
① 酸素の状態を確認します
指先で測る機器で血液中の酸素の値(酸素飽和度)を確認し、酸素吸入が必要かどうかを判断します。
② お話を伺います
喘息の症状がどの程度かを確認します。
③ 胸の音を聞きます
ゼーゼー、ヒューヒューという音が実際に聞こえるかどうかを確認します。
④ 必要に応じて胸部レントゲンを撮影します
肺炎の合併が疑われる場合に行います。
⑤ 治療の方針を決めます
軽症〜中等症の範囲であれば、外来での治療を目指します。外来での治療が難しい場合や、外来で治療してもなかなか改善しない場合は、入院が必要な状態です。その際は、近隣の病院へ入院を依頼します。
いずれの場合も重要なこと
喘息発作に至ったときは、吸入ステロイドだけでなく、内服や点滴による全身ステロイドの治療が必要になります。自宅で吸入薬だけで我慢せず、速やかに医療機関を受診して、処方の調整を受けることが一番重要です。
院長からのメッセージ
気管支喘息の発作は、命にかかわることもある緊急性の高い状態です。発作に至ってしまっているときは、自宅で我慢する必要はありません。速やかに専門医の診察を受けてください。
普段の喘息の悪化ではなく発作の状態であれば、いったん具合の悪い状態をリセットする必要があります。そのための治療は全身ステロイドです。全身ステロイドの治療に慣れている専門医の診療を受けることが重要です。
また、発作を繰り返してしまう方は、今の治療の見直しが必要です。重症喘息に該当することもあり、その場合はさらに専門性の高い診療が必要になります。当院では、生物学的製剤を含めた重症喘息への対応も行っています。
日常の長引く咳の診療も行っており、咳や喘息のご相談に幅広く対応しています。お気軽にご相談ください。
執筆・監修
溝の口駅前内科・呼吸器内科 院長 高野賢治
(日本内科学会認定総合内科専門医/日本呼吸器学会認定呼吸器専門医/日本アレルギー学会認定アレルギー専門医)
【参考文献】
日本アレルギー学会 喘息予防・管理ガイドライン2024
